この記事を書くきっかけ
先日、勤務先のHRから「2025年10月から外国人社員も EPFの拠出が義務化される」のでオンライン説明会を開きます、と連絡がありました。
僕自身、それまでEPF制度の存在については知っていたものの、説明会を前に改めて調べて分かったことを共有したいと思います。
EPFとは?
EPF(Employees’ Provident Fund)は、日本でいう「年金基金」に近い制度で、労働者の老後資金を積み立てる仕組みです。
これまではマレーシア国籍を持つ社員が中心でしたが、2025年10月1日から非マレーシア国籍社員にも加入が義務化されます。
参考: EPF公式サイト(Contribution For Non-Malaysian Citizen Employees)
義務化の対象者
- 対象:有効な就労パスを持つ外国人社員
- 除外:家事使用人(Domestic servants:メイド、ドライバー、料理人など)
- 年齢制限:75歳未満
参考: Skrine法律事務所の解説(Mandatory 2% EPF Contributions for Foreign Workers to start from October 2025)
拠出率(Employee / Employer)
- 社員負担:給与の 2%
- 雇用主負担:給与の 2%
- 合計:給与の 4% が毎月EPFに積み立てられる
参考: Lockton Global(Malaysia introduces mandatory EPF contributions for foreign employees)
登録と支払期限
- 雇用主は対象社員をEPFに登録する義務あり
- 例えば10月分給与 → 11月15日までにEPFへ納付
- 支払はMYR建て、セン未満は切り捨て処理
参考: Asinta HRニュース(Mandatory EPF Contributions for Foreign Employees in Malaysia)
退職・帰国時の取り扱い
気になるのは「転職やマレーシアを離れるとき、この積立金はどうなるのか?」という点です。
- マレーシアで働き続ける → 新しい雇用主が拠出を継続
- マレーシアに住み続けるが就労しない → 口座は維持、原則55歳まで引き出せない
- 本国に帰国する → Leaving Country Withdrawal(国外退去による一括引き出し)が可能
- パスポート、就労パスのキャンセル証明、銀行口座情報などを提出して申請
参考: EPF公式「Leaving Country Withdrawal」
EPFの投資先と配当実績
EPF の投資先ですが、2024年は以下の通り、株式が43.5%と固定利付きの商品が46.5%と合わせると全体の9割を占めており、収入はその2つで95%超を占めるという構図になっています。

次に、配当の実績(=運用実績)ですが、過去10年を見れば、EPFはおおむね 5%〜6%前後の年率配当を継続的に出しており、2024年は6.30%と比較的高めの水準となっています。
法律で定められている最低配当率は 年 2.50% ですが、実際にはそれを大きく上回る配当が出されることが通常です。

参考:EPF公式(EPF Declares 6.30% Dividend For Simpanan Konvensional And 6.30% For Simpanan Shariah)
補足:上の「SS」はシャリア法に準拠した投資商品だけで運用される積立。自分で変更を申し出ない限り、デフォルトで「SK」(従来型の積立、幅広い投資商品を組み入れ)に加入となる。
まとめ
- 2025年10月から外国人社員もEPF義務化(本人2%+会社2%)
- HRから案内や給与明細を見て初めて知る方も多いはず
- 帰国時には「Leaving Country Withdrawal」で全額引き出し可能
- 拠出義務化で「払った分が完全に“損”」ではない。EPF は歴年でそこそこの配当を出しており、長期的には積立てが資産になる可能性あり。
私自身もHRからの連絡をきっかけに調べましたが、意外と情報が断片的でわかりにくい印象を持ちました。
この記事が、同じようにマレーシアで働く日本人や、これからマレーシアへでの就職を検討する方の参考になれば幸いです。

